【中小企業の隠れた良さ】中小企業で働くことは豊かになれない?

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町野文孝

株式会社インターテック代表取締役・心理資本経営コンサルタント

これまで自身の中小企業経営の経験を活かし、様々な中小企業の人材育成・組織開発に関わる。方針を打ち出すだけではなく、自ら、企業に入り込み、従業員の方々とも対話を行いながら、組織を作りを行っている。
これまでに、関わった全ての中小企業は、現在も業績を伸ばし続けている。心理面がメインに感じられることも多いが、財務に関するプロでもあり、数々の資格を有している。

中小企業の経営者がよくこんなことを言われます。

経営者

多くの若者は、中小企業に就職するなんて、
「負け組」のようなものだと思っているんだよね

経営者

そうそう、だから就職を希望して来てくれた人も
なんとなく「この会社でも仕方ないかなぁ」という
雰囲気がする人もいるんだよなぁ。

実は、私自身も若い頃は、「中小企業に就職するなんて、豊かに生きられない」なんて思っていたのですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
現在は、様々な中小企業の従業員の方々とも話をする機会が多いのですが、こんなに豊かな暮らし方があるんだぁと感じさせられることがたくさんあります。これがどういうことなのか、詳しく解説します。

目次

中小企業に就職することは「負け組」と感じる人が多い理由

一般的に、「大企業の就職内定が決まった!」と言えば、多くの人が「凄いね」「良かったね」といいます。
ところが、「中小企業の内定が決まった」と胸を張って周りに言う人は、少ないように感じます。
一生懸命に働くということに変わりはないのに、どうして、この様な差が生まれるのでしょう。
あなたは十分に承知していると思いますが、ここで整理しておきたいと思います。

  • 企業そのものの存続が心配
  • 待遇面(給与)が大企業と比較すると良くないことが多い
  • 労働時間が長くなりやすい傾向がある
  • 人間関係がある程度固定化されているために、風土に合わないと辛いこともある

こうした点を踏まえると、確かに「負け組」の様な印象が強いのですが、果たして本当にそうなのでしょうか。

【事例】中小企業で働きながらもかなり豊かな暮らしをしている人

先日、関わりのある中小企業で次のような会話が行われていました。

経営者

みんなが頑張ってくれたおかげで、
効率良く現場も周るようになったし、
きちんと利益も出ているので、還元しないとなぁ。

従業員

もちろん、還元は嬉しいことですが、
それよりも効率良くなったということで、
休暇を増やすとか時短の日を設けるとか…
お金よりも時間で還元してくれた方がみんな喜ぶと思いますよ。

2025年現在、物価高で「とにかく節約だ」「お金がない!」と多くの人が叫んでいるなかで、お金よりも時間が欲しいというのは、どういうことなのか? 最初は、自分の耳を疑ったものです。どういうことなのか、一つの事例を挙げてみます。

お金をあまり必要としない暮らし

「お金よりも時間で還元して欲しい」と言われていた方に、その理由を伺ってみました。

Check!

所得だけをみれば、大企業よりも少ないけれども、
出費も少ないために、自分の好きなことをする時間をもっと確保したい。

この様な理由だったのですが、なぜ、出費が少ないのでしょう。

  • 田舎の地元(実家)で生活しているために、家賃が必要ない。
  • 野菜やお米は栽培していたり、近所の方にいただいたりすることが多い。

このメリットを金額に換算することは難しいですが、一年を通してみると、かなり大きな金額になることは容易に想像することができます。

実際に、こう言われていた方は、

豊かなくらしの実例
  • 余暇は、地域の子ども達の野球の指導を行う。
  • 消防団に所属して、全国消防操法大会の優勝を目指して練習を行う。
  • 大きな車を購入して、年に数回、家族で旅行に行く。

こうしたことを既に実行されていたために、「お金よりも時間が欲しい」という考えにいたったようです。
そして、注目したい点は、「お金よりも時間で還元してくれた方がみんな喜ぶと思いますよ」という言葉です。
この方だけが、こうした豊かな暮らしをされているのではなく、この話が出た中小企業の従業員の多くの方々も似た様な暮らしをしているという点です。

大企業で高収入を得ながらバリバリ働く人の暮らし

では、都会の大企業でバリバリ働いている方の暮らしはどうでしょうか。
当然、一概にこうであると言い切ることはできませんが、先日あった知人の様子を紹介します。

都会で高収入を得ている大企業の知人の暮らし
  • 家賃が15万円と非常に高い。
  • そのため、できるだけ残業をして収入を増やそうと努力している。
  • 食品も高いために、どこで出費を抑えるか日々考えている。
  • マイカーをもつことも考えたが、駐車場代のことを考えて購入を断念。

確かに、所得が中小企業より高くても、「出費も大きいために、経済的な余裕はあまりない」という話をしていました。

これだけで、どちらの暮らしが豊かであると断定することはできませんが、
田舎の中小企業に就職したからと言って、「負け組」であるということもできないのではないでしょうか。

中小企業が力強くなるということは、地域が力強くなる

私が、中小企業にこだわって、支援を続けている理由は、

Check!

中小企業が力強く成長し続けることができれば、地域も元気になるため


私自身も若い頃はそうであったように、ついつい、
「所得がある程度高くないと生きていけない」
「名のある大企業でないと社会的な信頼が得られない」
などと思ってしまうものです。

ところが、今回紹介した中小企業は、古くからある地域の伝統産業に関わるものを作り続けている企業です。
だからこそ、地域の職人さん達が、安心して伝統的なものを作り続けることができているのです。
こうした側面を見ても、中小企業で働くことは、決して恥ずべきことではなく、むしろ、地域活性化に貢献していると胸をはって言っていいのではないでしょうか

そして、中小企業が力強く、成長し続けることができれば、先に触れたような「豊かな暮らし」ができる方が増えることにもつながるのです。こうした、地域の力強さ働く人の豊かさの両方の実現を目指して、ゆっくりとですが、少しずつ前に進んでいるのです。

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CHECK

コロナによって、私たち中小企業は大打撃をくらいました。
ただ、その厳しい状況は、中小企業経営の本質を見直すきっかけにもなりました。

この記事を書いた人

30年以上、中小企業経営を行っている。その間に大成功もおさめた一方で、離職などの影響もあり、経営の危機を何度か味わう。そこから再び這い上がりながら、「良い中小企業経営の形」を徹底的に追究。
現在は、自身の実践をもとに東海地域の中小企業経営のサポートを行い、関わりのある全ての会社の業績向上を達成し、採用に貢献。

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