【中小企業の従業員】やる気を向上させるために力量向上をどの様に評価する?

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町野文孝

株式会社インターテック代表取締役・心理資本経営コンサルタント

これまで自身の中小企業経営の経験を活かし、様々な中小企業の人材育成・組織開発に関わる。方針を打ち出すだけではなく、自ら、企業に入り込み、従業員の方々とも対話を行いながら、組織を作りを行っている。
これまでに、関わった全ての中小企業は、現在も業績を伸ばし続けている。心理面がメインに感じられることも多いが、財務に関するプロでもあり、数々の資格を有している。

中小企業の従業員の「やる気」は、企業にとってとても重要です。私が、様々な中小企業の経営者の方から相談を受ける際にも、「従業員のやる気向上」が話題にならないことは、ほぼありません。

これまでにも、中小企業の従業員のやる気向上に関する記事を書いてきましたが、

今回は、

従業員の力量向上をどの様に評価して、やる気を向上させるのか?

について、私がこれまでに実践してきた経験を踏まえつつ詳しく解説します。なお、現在、私は東海地域を中心とした様々な中小企業の財務に関すること・人材育成に関する支援を行なっていますが、全ての会社において業績が伸びていますので、参考にしていただける点がいくつかあるはずだと思います。

目次

従業員の力量向上を評価するのはとても難しい理由

中小企業の従業員にとって、自分自身で「力量が向上した」と実感することは、やる気と直結するためにとても重要なことです。ですから、様々な中小企業が、アンケートをとったり、評価の仕組みを考えるなどの工夫をしていますが、なかなか業績に反映されないという悩みをもっているのが現状です。

あなたの会社もきっと何らかの工夫をされているかと思いますが、「やる気を引き出す評価の仕方」が難しい理由を整理してみます。

コミュニケーションは難しくて当然

書店などに行けば、コニュニケーションに関する本は、驚くほどたくさん置かれています。

  • 〇〇さえすれば、コミュニケーションは上手くいく。
  • たった〇〇だけで、人間関係は驚くほど変わる。

お手軽な印象を受けるタイトルが多いのですが、実際にはそう簡単にコミュニケーションに関する問題は解決しません。事例を2つ紹介します。

ハラスメントに対する認識の違い

アメリカでハラスメントに関する調査が行われました。その内容をまとめると次の通りです。

経営者・管理職にあたる人でハラスメントに該当する言動をしたことがあると答えた人は、全体の僅か0.05%に対して、従業員でハラスメントを受けたことがあると感じた人は全体の30%にものぼりました。

つまり、経営者・管理職の人が全く問題ないと思った言動に対しても、ハラスメントだと感じた人がたくさんいるということです。

身近な例で言えば…

関西の上司
関西の上司

ほんま、アホやなぁ。

関東の部下
関東の部下

アホやなぁ…なんて酷いことを言うなぁ。

余計に落ち込むじゃないか。

少々極端ですが、関西の上司は、部下を責めるつもりなんて一切なく、可愛がるような気持ちで「アホやなぁ。」と言ったにも関わらず、関東の部下は、バカにされたという認識になってしまうという様なことがあるということです。

この様なギャップは日々、あなたの周りでも起きる可能性は十分にあります。

世代の違いによるコミュニケーションのギャップも大きい

ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社は、世代間におけるハラスメントに対する感じ方/認識の実態調査というものを行なっています。

この調査結果は、世代によって感じ方が全く異なるということを端的に表すものとなりました。

世代の異なる約1000人を対象として、次の様な質問が行われました。

上司がテレワークの際に、仕事をしているかわからないことを理由に、日報を書いて送ることを義務付ける」ことについて、パワーハラスメントに該当すると思いますか。

私としては、「1日の業務がどの様に行われたのか報告するのが当然だろう」と思うのですが、若い世代の方からすると、「信用して貰えない」という認識になりがちなために、ハラスメントに感じる人が多くなったのではないかと推測しています。

つまり、悪気等が一切なくても「ハラスメント」と感じる人が出てしまう可能性が十分にあるということです。

経営者が評価したい部分と従業員が評価されたい部分の違い

また、経営者・管理職が従業員を評価する際のコミュニケーションにもギャップは存在します。一例を挙げると…

営業マン
営業マン

今までは、「とにかく足を運ぶ」の意味がよく分からなかったんだ。

でも、この意味が最近分かってきて、お客様のことろに用もないけれど顔を出すことも違和感なくできる様になってきたんだ。少し成長したかなぁ‥。

管理職
管理職

そうは言っても、新規契約を自分でとれていないじゃないないか。

私も痛いほど経営者・管理職の気持ちは分かります。「どれだけ立派な行動をしても結果が伴わないのであれば、意味がない」つまり、「会社の利益に貢献しないのであれば、評価に値しない」という見方をしてしまいがちです。

ところが、従業員の方からすれば、当然、利益に貢献したいけれども、「右も左も分からなかった自分が、〇〇ならできるようになった」ということも誰かに認めて欲しいという想いがあるものです。

ここでは、簡単な事例を挙げてみましたが、あなたが気付かないところで、すれ違いが起きている可能性も十分にあるということです。まずは、そうして可能性があるということを知って、対策を考えていきたいものです。

では、この様なギャップを埋めていくにはどうすればいいのでしょうか。

中小企業の従業員の力量向上を評価する時のポイント

いつも様々な中小企業の経営者にお伝えしていますが、「〇〇をすれば組織が生まれ変わった!」などという「魔法の公式」の様なものはありません

とは言え、何もしなければ、当然、変化は生まれないので、ここでは、これまでの私の経験をもと改善策のポイントを紹介します。

そもそも誰かに認められないのであれば、やる気は出ない!

冷静に考えると当たり前のことですが、

従業員が何らかの結果を出すまでには、結果の伴わない様々な工程を経る必要がある

このことを経営者はしっかりと理解しておく必要があります。

例えば、「なかなか英語のテストの点数が上がらない」という子がいたとします。この子どもがある程度の点数を採れる様にするには…

  • 毎日、単語を学習する。
  • 英文を音読したり、日本語に訳す練習をする。
  • 英語で文章を書いてみる。など

様々なことに挑戦するしかありません。ところが、こんなことを1ヶ月頑張ったところで、大して点数が上がらないのが通常です。この時点で、

大人
大人

なんだぁ、いろいろしているみたいだけど、大した結果が出ていないじゃないか。

と言えば、途端にやる気が失われてしまうことは十分想像できるはずです。これと似た様なことが中小企業内で起きている可能性も考えられます。そのため、

どの過程を評価すると結果につながりやすいのか、全体を見て評価ポイントを定める

ことがとても重要になってきます。ですから、まずは、

  • 生産性を高めるために必要な要素を分析(←できているケースが多い)
  • どのポイントを認められると従業員は嬉しいのか?を探る・聴く(←抜けやすい)

この二つを擦り合わせていく必要があります。先に「コミュニケーションは難しい」という事例をいくつか挙げてみましたが、「従業員のやる気に大きな課題がある」と言われる会社の多くは、評価するポイントと、従業員が認めて欲しいポイントにズレがあることが多いのです。

まずは、「傾聴する」ということを意識したいものです。

傾聴することで、最低限の第一歩は踏み出せる

従業員の想いを傾聴するというのは、言葉で言うのは簡単ですが、経営者・管理職にとってはなかなか難しいものです。これまでにも、こういった話をすると、

  • そんなことをしている時間が無駄ではないか。
  • 従業員の想いを聴いていたら、舐められるのではないか。

この様な反応もありました。確かに、この様な心配をされるのも十分に分かりますが、あなた自身が誰かのために一生懸命に頑張ろう!と思うのはどんな時なのか、改めて考えて欲しいのです。

少なくとも、話を聞く耳を持たず、威圧的な人に対して誠心誠意、尽くそうとは思わないはずです。反対に、とにかく話を真剣に聴いてくれる人に対しては、好意をもつはずです。

ただ、企業の場合、従業員に好意をもって貰うことが目的ではないので、傾聴することは最低限の最初の一歩だということも忘れてはいけません。

最低でも半年間は継続的に取り組む覚悟をもつ

「従業員のやる気を引き出す」には、どうしてもある程度時間がかかります。先に挙げた「英語の学習」と同じようなもので、

結果が出るまでに、結果が伴わない努力・経験を積み上げる必要がある

ということです。英語のテストでさえ、真剣に勉強を始めて結果が出るのに早くて3〜6ヶ月程は掛かると言われます。当然、仕事の場合は考えるべき要素は英語のテスト以上に幅広いために、それ以上の時間が掛かると考えられます。

経営者からすれば、一刻も早く結果を出して欲しいところですが、最低でも6ヶ月程度は、人材育成に投資をする覚悟をもつことは大切です。

私の場合は、これまでに様々な中小企業の人材育成に関わり、6ヶ月で次の様な変化を生み出してきました。詳しくは、【事例】従業員がやる気になる!その第一歩で必ずすべきことを参照してください。

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ある会社は、残念ながらアルバイトの方々をその場限りの労働力と捉えて、威圧的に扱われていました。その結果、アルバイトはもちろん、正社員の方々の離職率も非常に高く、常に求人をしながら運営しないと事業が回らない状態になってしまいました。

離職がどれほど大きな痛手となるかは、あなたも十分ご存知だと思います。

中小企業の場合、短期的な視点でどう乗り切っていくのかも大切な視点ですが、もう少し長い目で見ると、「人を大切にしながら育成していく」ということが、厳しい時代を乗り越える鍵だと確信しています。

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この記事を書いた人

30年以上、中小企業経営を行っている。その間に大成功もおさめた一方で、離職などの影響もあり、経営の危機を何度か味わう。そこから再び這い上がりながら、「良い中小企業経営の形」を徹底的に追究。
現在は、自身の実践をもとに東海地域の中小企業経営のサポートを行い、関わりのある全ての会社の業績向上を達成し、採用に貢献。

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